KINGROON KP3Sことはじめ、初期不具合是正




バリ安かったので1台買ってみた
価格が安いだけあって結構大変だった
少なくとも自分が買った個体はそうだった

KP3Sのいいところ
・小型
・安い
・32bitボード&タッチパネル液晶
・静音モータードライバーを搭載している(ファンがうるさいからあんまり意味がない)
・ダイレクトドライブエクストルーダー
・リニアガイド
・bltouch対応

KP3Sの悪い所
・動作音がうるさい
・組み立て精度が悪い
・土台フレームが板金
・ベルト調節機構が無い
・ノズルファンの設計が致命的に悪い
・そのくせファンが轟音
・マグネットベッドがすぐ壊れる
Ender-3のやつはいい塩梅だったのでそっち使ったほうがいい)
・ファームウェアがバイナリのみ公開

箱出しから印刷までの記録


■Yベルト張りすぎ問題

まず気になったのがY軸のベルトが張りすぎている。
モーターブラケットとローラーブラケットがしなるぐらいギチギチに張っている
短いベルトは長くできないので仕方なく新たにベルトを張り直した。

ベルト調節機構がないので結束バンドを1メモリずつ詰めてを繰り返し適切な張りを出す
初心者には厳しい作業となる
X軸のテンションは適正範囲内だったので手を付けなかったが、こちらも調節機構がない


■SDカードスロットの落下防止策が無い問題

Flyingbear GHOST5だとスポンジが張ってあった
KP3Sには何もないので牛革の切れ端を瞬間接着剤で貼り付けた
印刷品質には何ら影響ない

■Y軸キャリッジがY軸と平行じゃない

Y軸自体は直角直行が取れているので品質には影響ない
分解して取り付け直した


組み立てたので印刷してみる




なんだかウォールの凸凹したとても汚い印刷のキューブができた
問題点を洗い出すために今度は無地のキューブを印刷してみた


周期的に前後左右に波打っている
物理的要因なのか論理的要因なのか判別するためEnder-3からマザーボードを引っぺがして
KP3S用のファームウェアをビルドして印刷してみた




動作確認の取れたマザーボードとファームウェアに交換しても同じように印刷されるため
物理的な要因、つまりフレームに問題があると確定した
Z軸がとにかく怪しいので点検することに

■送りネジナットのフレーム傾いてる問題




若干傾いていたので

修正した

■モーター傾いてる問題


目視で傾いてるのがわかるレベル
スコヤ当ててもやっぱり傾いていた



フレーム側にワッシャーを噛ませて修正
完全に垂直にはならなかったがだいぶマシになったし、そもそもスプリングカプラーが吸収してくれるので妥協した

■モーターのセンターと送りネジナットのセンターがずれている問題


送りネジとフレームが平行じゃないなと感じてたけど思った以上にずれてた
これ製造不良なのか設計ミスなのかしらんがまともじゃないのは確か
剛性の高いVスロットの台座だったらそれほど問題ないんだろうけど
KP3Sはの剛性の低い台座にZ軸フレームが底面ネジ2本で固定されていて追加のアングルなんかも無いのでまあ揺れる
ender-3は手で押してもびくともしないがこいつは動く
送りネジに常にテンションがかかっており、送りネジが回転するとネジとナットの遊び分テンションが弱まる
その結果としてねじの回転周期でZ軸フレームが揺れるので造形物に周期的な波打ちができた


モーターはこれ以上オフセットできない
送りネジのナットをZフレーム側にオフセットする必要がある


部品を分解し穴をZフレーム方向に拡張した
もともとの精度がひどいので気楽に作業できた



中心が出ることを確認



モーター直近の送りネジとフレームの距離を測り


Z軸最上位で同じ長さになる位置を測りナットの位置を固定といった方法でセンター出しをした
ネジの遊び分影響されるのであまり精度の高くない調整方法

【もっといい感じの調整方法】

KP3Sのフレームを強化してみた

■Z軸のVスロットフレームが凹んでいる問題

送りネジを外してZ軸を動かしたときにカクつく場所があった
Vスロットを指で撫でると目視でわからない程度に凹んでいた
2040の350mmのフレームを新たに注文した
部品が届くまで修理保留

再度印刷

コーナーで直線の出たきれいなキューブが印刷された
苦労した甲斐があった
(象足はマグネットビルドシートが破損しているせい)



キャリブレーションキューブの品質も格段に良くなった


しかし冷却不足からオーバーハング部分での崩れが発生している
これはファンとダクトを根本的に改造しないと治りそうもない
ゴースティング(リギング)も見られるが気にするようなレベルじゃない




寸法精度は大変よろしい
3方向どこから測っても0.1mm以下に抑えられている

Gコードファイル


スライサー設定

https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEjDHwEgORe8eAYckU2E2xPC43Jg52MqJrKHboqKzOrpO3KpRzMX7OOlTGJyTrvsk0I5GfEd-1fd3LiHakqjaxEoVuOkpc-jSTXwJ8wq-DapRbaAY_AMBd4kEEdOS8mHRQEW6pAcKY-hCfAj/s2232/Screenshot+from+2020-09-21+13-42-03.png

箱出しから印刷完了までの流れは以上になる

おわり

追記:
KP3SのZ方向の印刷が波打つ件、モーターとシャフトの軸芯出し(シャフトアライメント)を改善する対策は問題の本質に対する正しいアプローチだし、実際それで症状は消えた
それとは別に「手持ちのEnder-3だって結構芯がずれててもここまで波打たなかったし、なぜのKP3Sだけこんなにもナイーブなんだろう?」という疑問はぼんやり残ってて、片持ちだからだとか板金フレームだからとかふわっとした感じで勝手に思ってた
そんなこともすっかり忘れたある日、ふと気づいた
KP3SのVスロットローラーが異常だってことに
ローラー外輪のホイール樹脂の精度が悪くガタガタ動いているのが分かる
非常に小さく今まで気づかなかったけど他の機種は一切のガタツキがない

ベアリング自体は問題なくホイールがブカブカしているようだ
動画ではホイールが動いていたが実機ではホイールの方が固定されて内側のベアリングがY方向に前後する
つまりベアリング内輪に直接固定されてるXキャリッジ全体が前後に動いてしまうため
シャフトの回転ががブレていると顕著に拾ってしまう
今更わざとアライメント狂わせて実態を検証したりはしないけど正解してるでしょこれ

とにかくフレームパーツが意味なくガタガタ動くのは好ましくないので予備品のローラーをすぐに交換した
安いパーツなので交換しないという選択肢はない
追記終わり

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